© Fukushima United FC
長きに渡り、日本プロサッカーリーグ（Jリーグ）のJ1クラブで主軸を務めてきた茂木選手。今まで、パフォーマンスを向上させるために、さまざまなボディメンテナンスやケアを受けてきたそうです。その時に体験した鍼灸を学ぶため、本学に入学したのはなぜなのでしょうか？
過去、現在、未来の話をお聞きしながら、茂木選手の「変わるもの、変わらないもの」をひも解きます。
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茂木選手が「スポーツ少年団」でサッカーに出会ったのは、小学3年生の時でした。
「子どもの時からずっとやっているので、サッカーは自分を成長させてくれたもの。人間関係、社会性など、すべてをサッカーから学びました」
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そんな茂木選手は、若くしてサッカー選手としての頭角を現しました。2002年に「サンフレッチェ広島」に入団後、2006年に「ヴィッセル神戸」に活躍の場が変わっても、プロリーグの主要選手として飛躍し続けます。2015年、J1や海外のクラブチームからの誘いがありながら、J3の「福島ユナイテッドFC」へ移籍、故郷に帰還します。
「福島に戻ろうと思ったのは、体が思うように動くうちに地元のクラブでプレーがしたいと思ったから。もちろん、震災の影響もありますね。震災後、何度かサッカースクールに足を運んでイベントに参加しましたが、“復興”までは遠く感じました。スポーツには、辛い状況を忘れさせる力があると思うんです。福島に戻ってサッカーをすれば、震災で傷ついた人を元気にできるんじゃないか…そう思ったことも、決め手になったかもしれません」
「福島ユナイテッドFC」の選手として、福島のサッカーを盛り上げている茂木選手ですが、プロのサッカー選手が専門学校に通いながら、鍼灸を学んでいるとは意外に感じます。
「プロに入ってすぐの18、19歳ごろから、鍼灸治療をメンテナンスの一環として受けていました。特に、肉離れなど筋肉系のケガをした時、受ける前と後では違いが明らか。それで興味を持ったんです。福島医療専門学校を選んだきっかけは、こちらの先生がトレーナーとして来てくれたことですね。鍼灸を学べる学校があるとは知っていたのですが、先生に相談しているうちに入学する心が決まりました」
とはいえ、プロスポーツ選手が資格をとるというのは、相当の決断力がいるはず。茂木選手は、今の自分の状況をこのように分析しています。
「若いころは、サッカーだけをがむしゃらにやってきました。でも、歳を重ねるうちにさまざまなことが見えるようになり、サッカーを辞めた後の人生も考えるようになりました。サッカーを辞めた後も、広い意味でサッカーに関わっていきたいので、もっと選択肢を広げようと思ったんです。プレイヤーとしての経験が活かせること…とイメージした時に、浮かんだのが鍼灸でした。きちんと勉強すれば、ケガをした選手の気持ちや状態をより理解できるし、“自分の武器”になっていくのではないかと…。それで、思い切ってチャレンジしようと思いました」
昼間はサッカー選手としてプレーし、夜は鍼灸を学ぶハードな毎日を過ごす茂木選手。実際に学校で学んでみて、鍼灸師へのイメージは変わったのでしょうか？
「鍼灸に関して知識ゼロから入ったので、ただ局所に鍼を打って筋肉を緩める…というイメージでした。でも、知れば知るほど、遠隔で打つ？経路上に打つ？など、未知のことばかり。自分にとってはファンタジーの世界ですね（笑）。今は、戸惑いと同時に面白さも感じています」
目下、鍼灸を猛勉強中の茂木選手の、今後の夢や目標が気になります。
「実現できるかはわからないけど、具体的な夢や野望はあります。秘密ですが（笑）。でも、自分の人生でサッカーが一番大事。それは、どんな時も変わらないことですね」
茂木選手が「変わったこと」は、“サッカー選手”という肩書きに、もう１つ、“鍼灸を学ぶ専門学校生”という肩書きが増えたこと。サッカーの世界をより広い視野で捉え、環境の変化に臆することなく、新しい目標に邁進する茂木さんの姿から、私たちもパワーがもらえるような気がします。
茂木選手の「変わらないもの」。それは、サッカーを大切に思う気持ち、そして、強い信念を持ち、新しい試みにも果敢に突き進む茂木さんらしい姿勢ではないでしょうか？
「異業種の人が学校に通っているので、いろいろな話ができて本当に楽しいですね。新しい試みや初めて会う人などを“受け入れない”ことはよくないと思っています。受け入れたうえで、自分がどう変化するか、そこが重要。自分にとって“受け入れること”は、サッカーと同じくらい大事なことかもしれませんね」
茂木弘人さんは、こんな人
「目標のためにチャレンジできる
勇気と行動力のある、すごい人」
「茂木さんは憧れの選手だったので、福島ユナイテッドFCに入った時は『まさかうちのチームに!?』と驚きました（笑）。チームメイトになってからは、自分も茂木さんにサッカー選手としての生き方など、さまざまなことを相談させてもらっています。だから、鍼灸の学校に入ったと聞いた時は、本当にすごいな、と。知らないフィールドのことを学生としてチャレンジする、その勇気と行動力がすばらしいと思います！」
